
プチiGEMを開催しました!!
概要
目的
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iGEMではどんなことをするのか、どんな雰囲気のチームなのかを新入生にイメージしてもらう
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新入生同士で仲良くなる
行ったこと
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一年生二、三人に対して二人の上級生がつくように班を分け、二週間後にその班単位で考えたプロジェクトを発表しました。
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プロジェクトは合成生物学の範囲で考える事を意識してもらい、それ以外の制限は設けませんでした。
やってみて
開催日まで
各班で予定を決めて話し合いをしていました。
iGEMのプロジェクトを考えるうえでまず必要となるのは各自が何をしたいかを考える事だと思います。それを決めるために現在の社会が何を必要としているのか、合成生物学には何ができるのか、どのような技術があるのかなど下調べが必要です。私がメンターをした班は一週間で下調べと各自が考えたプロジェクトを持ち寄る、残りの一週間で発表スライドを作成するというスケジュールで行いました。プロジェクトは各自持ち寄ってものを共有して話し合う過程で一人の人が持ってきた花粉症予防のプロジェクトに決まりました。
私は一応メンターとして1年生のサポートをしていましたが、スケジュールを調整して班内のミーティングの機会を設けたり、最終発表の確認を行ったりしかしておらず、大部分は1年生主導で行ってくれました。他の班も1年生が積極的に集まって進めていたので、今年の1年生は本当に優秀だなと感じました。
1年生の話し合いを見ていて一番困っている様子だったのは、プロジェクトの現実可能性でした。今回のプチiGEMは現実可能性についてはあまり固執せず、論文をもとに「こういうことができると思います」程度の示唆で十分だよと伝えていましたが、1年生にとっては合成生物学はもちろん、高校の生物の範囲も知らない人もいますので、論文を理解して、プロジェクトの現実可能性を考えるのも難しかったと思います。
発表に向けてスライドを作る過程では、私の班ではプロジェクト背景、プロジェクト説明、今後の展望の三つのセクションに分けて、1年生がそれぞれ一つずつ担当しました。スライドは最終的にcanvaを使って作成しました。iGEM Science Tokyoではcanvaを課金していて使える機能が多いので、canvaを使ってみるのもいいと思うと伝えました。今までcanvaでのスライド作成はしたことなかったとのことでしたが、うまく使いこなして、図やレイアウトを分かりやすく作成していました。
開催当日(5/17)
合計5班が考えたプロジェクトを発表しました。3つの班が花粉の対策について発表するという、かなり花粉に対する憎悪を感じましたが、どの班も個性が出ていてとても面白かったです。特に、ほとんどの班がどのような遺伝子を発現させいかまで言及していたのには、今回のプチiGEMのレベルの高さを感じました。以下にそれぞれの班のプロジェクト概要を簡単に示します。
班番号 | プロジェクト概要 |
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1班 | 花粉のうに「蜜」のような粘度の高い液体を分泌させることで、花粉の飛散を抑制させる。 |
2班 | 遺伝子組み換えしたSydowia Japonica を用いてヒノキの雄花の枯死率を高め花粉を生産するヒノキ、スギの減少を目指す。 |
3班 | 遺伝子組み換えによって花粉のアレルゲンであるCryタンパク質を分解する酵素を生産させた乳酸菌を鼻腔に定着させることによって、花粉の根本的な予防を目指す。 |
4班 | テロメアに限定した3’→5’方向のDNA合成酵素をデザインする。 |
5班 | 遺伝子組み換えにより乾燥環境でも機能する窒素固定細菌をデザインし、サヘル地域などの乾燥地で栄養循環を支える。 |
プロジェクトの発表の後は質疑応答を約10分間行いました。これには2, 3年生も参加し、個々のプロジェクトの妥当性について議論しました。1年生も積極的に質疑応答を行い、特に自分たちがぶつかった問題についてほかの班がどのように考えたのか意見交換を行っていました。攻撃的な質問や予想外の質問があっても、臨機応変に対応し、場の雰囲気を崩さずに進められた点は素晴らしかったと感じました。
全体の感想
このプチiGEMは去年も行ったのですが、私の体感でいうと今回のほうが1年生の参加度合い、最後の出来など含めてよかった点が多かったと感じました。理由としては二つ考えられると思いました。一つ目は入部した1年生に最初にwikiを読んでもらったことです。これのおかげで1年生のiGEMに対する理解度が上がり、何をゴールとし、それまでにどのようなプロセスで考えればいいのかのビジョンが見えやすかったかなと感じます。二つ目は去年実際に行った2年生が各班のメンターとなったことです。2年生は去年の反省を生かし、1年生が困っているところにそれなりのアドバイスを与えたり、去年の発表スライドを見せて具体的な発表の完成をイメージさせたりすることができたかと思います。
今回のプチiGEMを通して、学年を超えた交流や知識の共有が活発に行われ、チームとしての一体感もより強まったように感じます。1年生にとっては、初めてのiGEM体験を通じて研究の進め方や発表までの流れを肌で感じる場となり、2年生にとっても、自分たちの経験を次世代に伝えることで理解が深まり、新しい視点を得られる機会になりました。こうした循環が毎年積み重なっていくことで、チーム全体の力が少しずつ底上げされていくのだと感じました。これからも、学年間の縦のつながりと同期同士の横のつながりを大切にし、チーム全体がさらに活気づくような活動を続けていきたいです。